=ヤバかった=

2003年11月7日
彼(息子)の学校に乗り込むことに決めた。
それは彼と話をするために。
彼が今、何を考えているのか。
父との暮らしをどう考えているのか。
何より6日は彼の13回目の誕生日だった。
彼の欲しいモノがわからない。
もう1年も会っていない。
せめて彼の声が聞きたい。
もう本能そのものだった。
朝ご飯を食べたが胃が消化しない。
RIOには言わない。心配するから。
朝、彼の学校へ電話して何時に授業が終わるのか
聞き出して電車に乗る。
携帯は切っておく。RIOには置手紙をする。
万が一、私が帰らなかった場合、母に電話して
くれるように書く。
ウチから片道2時間はかかる。
昔読んだ心理学の本をリュックに詰めて
心を落ち着かせるが興奮している自分がわかる。
電車の風景すら頭に入ってこない。
PCで調べ上げた道順どおり学校に着くが
すごい田舎で私が目立ちすぎる。
ランチにパンを2つ買う。
とても食べる気にならないが体力勝負になることを
考えて1つだけソーセージのパンをかじり
はじっこをスズメにあげてみる。
ポカリスエットで水分をとる。
完全に天気予報がはずれて「山に来た私」は
厚着だった。汗がでるが半袖では寒いヘンな天気。
予定の6時間が終了して頭の悪そうな中学生が
真っ先に校門から出てくる・・・
出てきたとたんに煙草を吸い出す。
交差点の車を妨害する。。。
(この学校で息子は大丈夫なのぉ!!)
不安が胸をよぎる・・・
ウロウロしている自分が、、
いつもと違う格好で変装しているのが
かえって目立つのか。。(地味な格好してるのに)
近くに保育園があった。
小さい子供がお母さんに連れられて出てくる。
先生に「さよならぁ」といって家路につく。
昔を思い出すと心が自然と痛む。
(この頃には彼に不幸は何もなかったんだろう)
そう考えてしまう母がいる。
夕暮れがせまる。
絶対、「背丈が変わって服装がかわっても
自分の息子がわかる距離」でも
暗くなっては自信がナイ。
暗闇で大勢、制服じゃ区別がつかない。
そう考えて自宅前の団地の入り口で待つこと
にする。
大急ぎで1Kの道のりを走る。
もしも彼に先を越されたらこまるから。
山合いに近い彼の自宅は霧に包まれる。
キレイな夕陽が落ちていくのは、あっと言う間だ。
場所をかえながら野良猫と遊びながらも彼の部屋の様子を伺う。
(おかしい。電気がついた。誰かいる)
それはモト夫か、親戚か。。
それとも彼だけか?
団地同士は幸い離れていない。
彼の家が見える場所、団地の向かい側へ移動。
何か定期的に光る。
見ているうちにわかった。それはクリスマスツリーだった。
彼はツリーが好きでこの頃一晩中、ツリーをつけいた。
暗がりが嫌いな彼は「ツリーつけてくれないと寝ないもん!」って泣いていた。
「もうそんな季節なんだね」
母は5階を行ったり来たりでTシャツで汗かいてるわー
彼の部屋を観察することにした。
そうすれば彼が帰ってきたかどうかは一目瞭然だと。
部屋は明かりが付いているものの静かだ。
「んー彼が1人なら静かなワケがない。寂しがりやだから鼻歌うたったり、ゲームやTVの音は
大きくしていないと居られないはず・・・」
反対側の彼の部屋のポストの隙間から音を聞く。まるでストーカーになった気分だった。
何度も聞き耳を立てつつ反対側の5階、彼の部屋が
見える場所に行く。
夕方なので人の出入りが多くじっとしていられない。
彼のオレンジ色のTシャツが見えたとき
時間が止まってしまったように体が動かない。
周りの音も人の気配も感じなくなる。
ポロポロと涙がベールをつくり霞がかかった
1年ぶりの彼はそんなに変わっていなかった。
何かに向かっておどけていた。
それは1人なのか、誰かいるのか
そんな判断は差し置いて「彼は間違いなくソコに
居て間違いなくベルを押せば彼が出てくるはず」
そう確信して走る。彼の部屋の前のドア。
ノックする。コンコン。
「どなた様ですか」
彼の声だった。
「ママよ。開けて」
「えっ?えっ?」沈黙が10秒ほど続く。
すぐに私の近くに近所の親子の声が。
(私の存在はココにはない)
それを知ってしたので彼に「待って、誰かくる!」
そう告げて10秒ほど黙り込む。
その間、彼は考えたようだ。
部屋にはモト夫が居た。
彼はドアを開けることができなかった。
もう一度、「ママだよ。開けて」と囁く。
次の返事が返ってきたのは別の声のモト夫だった・・・
「なにぃ?だれよ?」
私と知っての答えだった。
私は腹をくくって待った。(これで息子の顔が
見れるなら嫌いなモト夫に会っても本望よ)
そう思って待っていたがドアが開かない。。。
(やば。。これ包丁でも出されたらマジヤバイ)
何分か待って怖くなる。
そそくさと階段を下りる。
すぐそこのバス停は怖いので2つ先まで歩く。
その間にRIOに電話する。
「ヤバイ、ばれたわ。モト夫が居た。巻くから
大丈夫だから」
そう告げて頭には帽子をかぶり髪を1つに縛る。
どこから見ても私らしくない自分を演じる。
暗い団地の中を抜けてバス停につく。
幸いオバチャン2人がカモフラージュになる。
1人では目立つから助かった。
その間にもRIOや事情を知っている母から
メールがひっきりなしに届くがあまりに緊迫していたので返事が出来なかった。
彼の家の方角から走ってくる車に目を配りながらもメールに返事を打つ。
モト夫の車は紺のRVだ。
緊張感が解けたのは横浜に着いてからだった。
それまでは、何を見ながら帰ってきたのか
ずっと座れずにいたのに記憶がない。
「彼の誕生日に行ったのが間違いだったかな」
モト夫は彼の学校を休ませていた可能性が高い。出かけてきたのか?私の知らない間に部屋に
戻っていたのだった・・・
ともあれ、彼を一人ぼっちにせずモト夫は彼と
過ごしてくれたことに感謝しつつ
彼に話せなかったこと、でも私の意志は伝わった?ことを確信した。
心配していたRIOは私の自宅近くの駅のバス停で待っていた。
(待たなくてイイって言ったのに)
RIOに内緒にしないと気持ちが集中できないから
知らせずに出かけたのにね。
後で母に叱られた。
「あんた、、もしや知らせないで出かけたんでしょう?」
「そそ、、母の携帯、教えておいた。6時までに私が帰らなきゃ電話してみてってね。」
私が帰らないときはシャレになんないって解かって
いたから。
現実に戻れるか、次の日は仕事だ。
平気な顔していたけど息子の姿がチラついて
頭が痛くなった。
自分の気持ちもコントロールできなくなるなんて
最低な気分だった。
でも誰にも言えなかったよ。苦しすぎて。

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