=無謀な計画=

2002年8月7日
8月6日晩からの続き

その後、長い話が始まるのがわかった。
朝方まで正常な話をしたり危険なことを言われたりの繰り返しだった。
相当、お互いに酒が入っていた。夫は極端に酒に弱かったので
酔わせてしまうつもりでいたが酔いつぶれてくれない。
AM4時を過ぎた頃、「おまえの男を呼び出せ。話をつけてやるから。それで
おしまいにしよう」という。目が血走った夫が怖かった。

RIOにメールを書いた。AM4:26
「今、主人と話をしました。。
貴方は主人と会う勇気がありますか?
もし、会う勇気があるなら明日、仕事が終った後に会ってもらえますか?
会う勇気がなければ私を捨ててください。。
貴方に迷惑をかけたくないです。
第三者をいれてください。。
急にごめんなさい。。
携帯に連絡ください、」

結局、朝の9時にRIOは時間を指定してきた。
夫と話をしてくれるとPCに返事をくれた。
「これで本当にいいのだろうか」そう思いつつも
RIOに賭けてしまう自分がいたのは隠せなかった。
第三者を入れて話をして欲しかった。Mが一緒に行くとかえって
夫が逆上する恐れを感じて部屋で待っていた。
朝早くて仲裁に入ってくれる第三者は見つからない。
ある駅前で待ち合わせを約束して夫は出て行った。
駅で会うといきなり途中で買ってきたナイフを夫はRIOに突きつけてきた。
RIOは気丈な人だとMは解かっていた。
心配はしていなかったと言えばウソになるがイザとなれば刺されるような
人ではないだろうと。
MはRIOが刺すことも刺されることも望んでいなかった。
どちらかが刺されてしまえば簡単に終るのは解かってる。
でもRIOが刺せば犯罪者になってMは一人になる。
RIOが刺されれば息子は犯罪者の子供になる。
夫はナイフをちらつかせながら慰謝料を請求した。
1000万の慰謝料。
RIOに一筆書かせたあと住所や連絡先まで書かせた。
RIOは正直すぎた。全部、本当のことを書いたらしい。
夫はRIOの実家にまで電話を入れて両親まで脅かした。
Mはそれが許せなかった。なぜ関係のないお年寄りまで?
絶対、夫は許せないと思った。
内心「かわいそうな夫」ではなくなった。
なにか手を先に打つつもりでいた。
しかし、夫はRIOの職場にMが居ない隙に電話していた。
慰謝料の話をはっきりさせようと。
でも、たまたま電話番号が間違っていた。
本人も電話をしたことがないくらいだから。
激怒した夫は「RIOを殺してお前も殺す。絶対に殺す」
RIOが逃げたと思ったらしい。
「これは本気だ」とMは感じた。
RIOの携帯にメールする。でもRIOは「逃げない」って言う。
昼頃からRIOは仕事に行っていた。夫は夜、RIOの仕事の終る頃を待って「殺しにいく」と
小刀を腹に抱え横になっていた。
Mは小刀を取り上げよほど殺してやろうかと思った。
でも脳裏には息子の姿が浮かぶ。
Mは買い物へ出ると言って外にでた。警察署に行き自分と息子の保護の依頼、
「RIOの職場へ刃物を持った夫が必ず殺しにいくから捕まえて欲しい」との
趣旨を話し準備をした。
夫が刃物を持っていないと逮捕されないのだ。
県と都をまたがって緊急配備がひかれた。
これで準備が整った。主人が部屋を出たところで110番することに
なっていた。RIOへ近寄る前になんとしても捕まえて欲しい。
何食わぬ顔で部屋に戻ったMは息子と一緒にバックに着替えを詰めた。
午後7時になると主人が不敵な笑みをうかべ「お前、ここで泣きながら
待っていろよ。お前の大好きな人を殺したらお前もやってやる。その間、
せいぜい苦しむんだな」
息子には「ちょっと出かけてくるね」って言いながら。
形見といって時計をテーブルの上においていく。
ドアを出て行った。誤算だったのはレンタカーを予約していたことだった。
レンタカー屋までは歩いて5分もない。車のほうが捕まえにくい。
すぐに110番して伝える。本当はレンタカー屋で捕まえて欲しいと願った。
警察を信じられなかったから。
Mも息子も準備したバックを持ち警察署へ行った。
警察署内では発見できないRIOと主人に騒然となっていた。
RIOの職場は広い。
警察は先にRIOを保護してから、ナイフを持っている夫を捕まえるつもりらしい。
県警と警視庁内で何百人もが動いていた。
鳴る電話はすべてMにも聞こえてくる。
RIOは無線で自分が探されていることに気が付いていた。でも逃げることはイヤだった。
「刺されてもいい」と思っていた。
RIOが見つからないのでMへ「携帯でメールを打つように」警官がいうが電池切れ。
ドキドキしながら待つ時間は長い。RIOの職場の中を警官と上司が探しまくる。
結局、1時間半くらいしてRIOは警察に保護された。
あとは夫がナイフを持って逮捕されればいい。
30分くらいして夫も身柄を確保されナイフは車から出てきた。
銃刀法違反で逮捕された。都内の警察署の留置場へいれられた。

それを某県内の警察署で聞いて安堵した後、Mと息子は保護施設へ入ることに
なっていた。
11時半ころだろうか。一旦、施設に荷物を置き息子の眠る場所を確保して
もらってから、都内の警察署からMは呼び出されていた。
なぜ事件になったか事件に至るまでの経緯やRIOとの関係を調書にとるらしい。
施設から都内の警察署まで30分くらい刑事の車に乗り向かった。
同じ警察署内にRIOがいると聞く。
Mより先に取り調べを受けていた。
長い長い事情聴取の間、別々の部屋にいながら携帯でメールのやりとりをする。
2人とも安堵とともに疲れていた。私も何日も寝ていない。
RIOは事件の責任をとらされ職場をその場で解雇された。
刑事は先に終ったRIOにも気をつかいながら「早く進めよう」と言ってくれる。
RIOは下の階で私を待っていた。
私が終ったのは午前3時を廻っていた。私の居た部屋に刑事がRIOを呼び入れてくれる。
事件の最中も会うことがなかったがRIOは疲れきっていた。
手には脱いだ制服を持ち少し生えて来た無精ひげの顔は久しぶりに見るRIOだった。
疲れていても私を見て微笑んでいる。
良かった。。本当に心から無事にいてくれたことを感謝した。
無謀な長い1日。RIOと私は刑事二人に連れられ車で送ってもらう。
先にRIOが奥さんのいる自宅で降りる。「事情を話すから」と言い残して手を振る。
私は息子が眠る保護施設へ向かう。
車が減った朝方の国道を走りながら刑事の一人が「元気だしなさいね」
「まだ注意が必要だけど二人いれば平気だよ。なんとかなるって」
半べそかいてる私を励ましているつもりらしい。
そう。覚悟の行動だったから。でも私が壊したものは、多すぎたのかもしれない。

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